【2021/04/23】

 高校3年の息子は引きこもり状態で、自分の部屋で一日中ゲーム。中学3年の娘も不登校で、家でスマートフォンでマンガを読んだり、動画を見たりして過ごす。

 「欲しがるので、ゲームやスマホを買ってきた。でも与えすぎたのかもしれない」。県内在住の川上光江さん(46)=仮名=は、息子と娘がゲーム・ネット依存になっている状況を嘆く。

 ゲーム依存の息子は、高校入学後2日で行けなくなり、通信制に移った。娘はネット依存で、中2の秋ごろから学校生活になじめず、通っていない。

 ゲーム好きの父親が、息子に携帯型ゲーム機を買い与えたのは小学校低学年の時だ。当初は自宅で一緒にゲームをするなど、友人関係は順調に見え、特に問題は感じていなかった。

 だが高学年になると、担任の先生から「ゲームの話しかしない。ゲーム依存になるかもしれない」と忠告された。そのときは息子は勉強もできており、深刻に受け止めていなかった。

 しかし中学生になると急に勉強ができなくなった。学習参観に行っても一人だけ寝ており、「いつもこうですよ」と先生に言われた。息子に聞くと、「学校に居場所がない」と打ち明けた。中学校は休みがちになったが、何とか通った。

 娘には中1のときにスマホを買い与えた。取り上げると暴れることもあった。

 川上さんは「ゲームもスマホも友人との付き合いがあると思って買った。思春期の心が不安定な時期の逃げ場になったのかもしれない」と悔やむ。

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 県内でも子どものゲーム・ネット依存は深刻化している。

 長岡赤十字病院(長岡市)の前小児科部長、田中篤さん(66)は、心身の不調を訴える子どもの増加に危機感を抱き、県内のある市と協力し、2019年に市内の全小中学校を対象にアンケート調査を実施。全体で平均9・2%が「ゲーム障害(依存)」の恐れがあるとの結果が出た。

 田中さんは自己肯定感の低い子ほど、ゲームなどに熱中し、依存症になる危険性が高いと指摘する。親に遠慮なく甘えられる「乳幼児期」の愛着形成が不十分なことも考えられるという。「現代は核家族で共働きも進み、子どもに割ける時間が少ない」とし、子育て支援の必要性を訴える。

 新潟日報社のゲーム・ネット依存のアンケートでは、南魚沼市の50代女性教員が、不登校の中には、長時間のゲームなどで生活リズムが崩れた子どもが多いことを挙げ、「子守代わりにゲームを使うことで、他の楽しみを知らない子もいる。もっと真剣に大人が考えなければならない」と警鐘を鳴らす。

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 川上さんは、2人の子どもを医療機関に連れて行き、少しずつ生活を変えようとしている。「放っておけば簡単に依存になる。どうにかしたい」

 娘は「学校に戻りたい」と言うようになり、フリースクールへ通う。外出を嫌がる息子も医師の言いつけを守り、週に2、3回は運動のため夜に散歩をするようになった。

 息子はゲーム時間を減らし、プログラミングや株、ネット証券などに関心を示すようになり、外出せずにお金を稼ぐ方法を探し始めている。ネット口座開設のためマイナンバーカードが必要だと知ると、証明写真を撮るため伸び放題だった髪を散髪した。高校を卒業できるかなど心配はあるが、「ゲーム以外のことに関心を持ち始めたのはよかった」。

 2人の将来に不安を感じつつも「親も苦しいけど、一番苦しいのは本人たち」。子どもたちの力を信じるしかない。