【2021/04/30】

 3月、新潟県妙高市の斐太(ひだ)北小で開かれたメディアとの付き合い方を考える講演会。

 「時間つぶしのためにインターネットやゲームをやり過ぎていないか。友人同士で注意し合ってほしい」

 上越教育大教職大学院の清水雅之教授が、4~6年生約40人にこう注意を呼び掛けた。清水教授はゲームに長時間熱中すると、睡眠障害や依存症を引き起こす危険性を指摘。「行動を振り返り時間を減らすことが大事」と訴えると、児童は大きくうなずいた。

 講演を聴いた6年生=当時=の女子児童(12)は、ネットやゲームなどは1日2時間以内にし、朝や寝る前、食事中はしないと親とルールを決めたが、守れないことも。「ルールを守ることを習慣にしたい」と誓った。

 同市では、2019年に「インターネット等の利用に関するこども宣言」を策定。子どもたちのネットやゲームの適正利用に向けた取り組みが進む。小中学校では外部講師を招いて講演会を開くなど、積極的に注意を促している。

 08年には、ネット上のトラブル防止を目的に、妙高市教育委員会などが当時県内で初めて、小中学生に原則として携帯電話を持たせない提言をした。中学校入学前の保護者に、スマートフォンを持たせる必要の有無やネットの使い方を親子で考えるよう呼び掛ける。

 提言の効果もあり、同市のスマホなどの所持率は17年度、小学生が9%(全国平均29%)、中学生が14%(同58%)と低い。

 妙高市教委は「入学前の早い段階に、携帯やゲーム機などが必要かどうか考えてもらえるよう啓発している。親、子どもにいかに『自分事』として捉えてもらうかだ」と話す。

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 子どものネットやゲームの利用時間は増えている。内閣府の20年度の調査ではインターネットの平日の平均利用時間は小学生が146分で、3時間以上の割合は33・6%、中学生は同199分で、3時間以上は52%。いずれも年々増加している。利用内容(複数回答)では、ゲームや動画視聴が小学生と中学生で8割ほどを占めた。

 こうした状況の中、新型コロナウイルスの影響で、県内の教育現場では予防教育の重要性が増している。

 県教育委員会によると、新型ウイルスによる臨時休校や外出自粛などの影響で、ネット・ゲーム依存に陥る児童生徒が県内でも報告されている。増加が懸念されるため県教委生徒指導課は「通信機器の適正利用について指導をさらに充実する必要がある」とする。

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 妙高市の先のこども宣言は、市立の小中学校など全12校の意見をまとめて子どもたちがルールを作成した。県内ではほかの学校でも予防教育に取り組むが、子どもが主体的に関わるのは珍しい。妙高市教委は「子どもや親がそれぞれの立場でルールを考えることが抑制につながる」と強調する。

 同市では宣言を踏まえ、さらに独自の宣言を作った学校もあり、斐太北小もその一つ。児童、親、教職員がそれぞれ宣言をまとめた。児童は「外で遊んだり、読書をしたりして、ゲームやネットをする時間を減らす努力をします」、保護者は「適度な睡眠時間・運動時間を確保し、メディアに依存させません」-といった内容だ。

 宣言は学校に掲示するほか各家庭用にも配布。児童と保護者がそれぞれ署名し、自宅に貼るなどする。前PTA会長の太田浩一さん(42)は「学校に任せきりにせず、親も考えるいい機会になった」という。学校や親、子どもが一体となった取り組みが求められている。

=おわり=

(この連載は報道部・大西泰三、山田晃、五十嵐南美が担当しました)