【2021/04/21】

 インターネットの普及で便利になる半面、ゲームやネットにのめり込むあまり、課金トラブルや睡眠不足で不登校になるなど、生活に支障をきたすケースが現れている。世界保健機関(WHO)がゲーム障害を正式な疾患と認定したのは2019年。他の依存症と比べて歴史は浅いが、生活に身近で、子どもも患者となるリスクが高い。重点企画「依存症を考える」第3部は、はまると出口が見えなくなる「ゲーム・ネット依存」と向き合う。

 スマートフォンの画面に光る「1万円」の文字。有料の課金システム「ガチャ」に手を出し、止まらなかった。スマホ版のロールプレーイングゲームで、新しいキャラクターが欲しい一心だった。

 新潟県内出身で東京都の大学院生、神谷美鈴さん(25)=仮名=は、新型コロナウイルス禍での昨年の生活を振り返る。

 買い物の多くはスマホで済ませた。6畳ほどのアパートは、通信販売の段ボールがうずたかく積み上がった。食への興味はなくなり、スムージーやファストフードの宅配で済ませる日々。頭がボーッとし、スマホだけが世界とつながっている気がした。

 ゲームや通販で、瞬く間にスマホの月の支払い上限である10万円に到達。ゲームの支払いには奨学金も使った。

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 県内出身で、東京都の大学院生、神谷美鈴さん(25)=仮名=は、スマートフォン依存だと認める。親にスマホを買ってもらったのは、高校生の時だ。インドア派でゲーム好き。生きづらさを抱えた高校時代も、会員制交流サイト(SNS)を介して趣味だけでつながる同好の友が支えになった。「私は人と交流できない分をゲームで埋めている」

 大学に進学すると専門的な勉強が楽しくなり、スマホを触る時間は相対的に減っていった。生活が狂ったのは昨年4月の緊急事態宣言以降だ。大学の出入りは制限され、わずかな授業も自宅でのオンラインで集中できない。思い描いたフィールドワークもできず、巣ごもり状態。将来への不安が募り、自然とスマホを触る時間が増えた。

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 夢中になったのが、スマホ版のロールプレーイングゲーム(RPG)だ。登場キャラクターに感情移入し、冒険ストーリーを楽しんでいたが、次第に手持ちのキャラが「渋い」と感じるようになった。SNSでは「新しいキャラを入手したよ」との情報が飛び交い、欲望に火が付いた。珍しくて強いキャラクターを引き当てようと、有料の課金システム「ガチャ」に手を出した。

 最初はコンビニで買うプリペイドカードで、ガチャをするポイントを購入していた。しかし、なかなか目当てのキャラが当たらずコンビニに行く手間も惜しい。スマホの決済は、画面をクリックするだけでお手軽だ。お金を払う感覚は既にまひしていた。数万円かけて強いキャラが手に入りSNSで発信すると、「おめでとう」と言われた。達成感があった。

 ただ、そのゲームでは、お金をつぎ込んでも、目当てのキャラが手に入る保証はない。「それが『闇』といわれる要素。結局何万円も出したのに、どのキャラだったか忘れてしまった。手に入れるまでが目標になっていた」とうつむく。

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 神谷さんは当時の購入履歴をスマホで確認し、「われながらひどい」とため息をつく。気軽にお店に行けないストレスも重なり、ネット通販で化粧品や服、雑貨の購入も繰り返していた。

 親が携帯料金を管理していたことで浪費が発覚。親と対策を話し合い、スマホ決済を自分でできないように変更してもらった。「親が気付かなければ、今もゲーム課金、通販を両方やっていたかも」と感謝する。

 精神科のクリニックに通院し、物欲などの症状は落ち着いたと感じている。今は、課金性の少ないゲームを楽しむ。ただ、スマホは手放せない。

 最近も1日の操作時間は15時間37分。利用は動画視聴にゲーム、音楽、SNSなど多岐にわたる。睡眠以外は、ほぼ触っている感覚だ。医師にはスマホを閉じて眠るように言われるが、実践できていない。「スマホの画面を見ないと落ち着かず寝られない。現実逃避の一つの手段かもしれない」

◆感情的になる子どもも
本社アンケート

 新潟日報社は「ゲーム・ネット依存」について、新潟日報社のメールマガジン登録者らを対象にアンケートを行った。2月上旬から3月末までに計87人から回答があった。

 家族や本人が「ゲーム障害」に該当すると回答したのは14人(16%)。このうち当事者の年齢は、多い順に小学生4人、中学生3人、高校生2人だった。

 原因となる使用機材(複数回答)は「スマホ」の7人(50%)が最多で、テレビ画面でプレーする「据え置きゲーム」5人(36%)、持ち運びできる「携帯型ゲーム」4人(29%)が続いた。1日当たり費やす時間は、「寝食以外ほとんど」が最多の5人(36%)、「6~12時間未満」が4人(29%)だった。

 自由記述では、感情的になる子どもの対応に、困惑する家族の声が多く寄せられた。新潟市の40代女性は小学生の息子について、「寝食以外スマホなどでゲームをしている。うまく行かないと奇声を発し、どたばた暴れる」と明かした。同市の40代男性も小学生の息子に対し、「注意すると感情が制御できなくなり、暴言、暴力を振るう」と記した。

 家族や本人が「ネット依存」に該当すると回答したのは19人(22%)。このうち当事者の年齢は中学生6人、小学生4人、高校生と20代(社会人)が各3人。問題となっている行為(複数回答)は「動画視聴サイト」が最多の15人(79%)。「SNS」7人(37%)、「ネットサーフィン」5人(26%)が続いた。

 年代は40代が最多で28人。50代(20人)、30代(15人)、60代(11人)、70代以上(6人)と続いた。20代は5人、10代は2人だった。