中国内モンゴル自治区包頭市内に掲げられた「世界のレアアースの都」の標語=7月(共同)
中国内モンゴル自治区包頭市内に掲げられた「世界のレアアースの都」の標語=7月(共同)
「レアアース大通り」と書かれた道路標識。奥はレアアース磁石大手「江西金力永磁科技」=7月、中国内モンゴル自治区包頭市(共同)
中国・包頭で採取されたレアアース=7月(共同)
故☆(登の右に郊のツクリ)小平氏の言葉が大書された壁面=7月、中国内モンゴル自治区包頭市(共同)
中国・包頭の広場に展示されていた旧式戦車=7月(共同)
北方稀土集団のビル(奥)の前に設けられた「世界のレアアースの都」の標語が書かれたオブジェ=7月、中国内モンゴル自治区包頭市(共同)
高速鉄道の包頭駅前にある、工事の中断したツインのタワーマンション=7月22日(共同)

 中国北部にある草原の小都市が世界のサプライチェーン(供給網)を揺らしている。内モンゴル自治区包頭には、世界最大の鉱山から高性能磁石の生産までレアアース(希土類)の関連産業が集積する。

 レアアースは、「産業のビタミン」と呼ばれ、家電や自動車、最新鋭の戦闘機まで幅広い工業製品に欠かせない原材料だ。米国のトランプ政権が仕掛けた関税合戦への報復として、中国がレアアース輸出を規制すると、世界中の産業がパニックに陥り、貿易摩擦の攻守は一気に逆転した。

 中国が一歩も引かない強気を貫いた背後には、40年以上かけて「伝家の宝刀」を磨き続けた長期戦略がある。その剣先は外交関係が悪化する日本へ向けられる恐れも出て...

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