広い空ときらめく海を背景に、レトロな電車が住宅地を進む。神奈川県鎌倉市にある江ノ島電鉄・鎌倉高校前1号踏切。バスケットボールに打ち込む高校生を描いた1990年代放送の人気アニメーション「スラムダンク」のオープニングに、この場所と似たシーンが登場することから、ファンの間で長らく「聖地」とされてきた。ここで今、オーバーツーリズム(観光公害)が巻き起こっている。
よく晴れた秋の平日、踏切周辺は200人近い人で混雑していた。休日などに警備のボランティアを行う団体「鎌倉ガーディアンズ」代表の大津定博(62)=鎌倉市=は「まだ少ない方。連休になると、常に500人近くいる」と苦笑いする。
9割以上が外国人。特に聞こえるのが中国語だ。道路にはみ出て写真を撮ろうとする人や、カラスやトンビが舞う中、おにぎりを食べようとする人もいた。日中は警備員が...
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