新潟日報社の単独インタビューに応じた長井龍雪さん=東京都内

 2011年にテレビ放送されたオリジナルアニメーション『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(あの花)は、心揺さぶる泣けるストーリーと魅力的なキャラクターで人気を博しました。あの花など埼玉県秩父市を舞台にした「秩父3部作」の監督を務めたのが、新潟市秋葉区出身の長井龍雪さん(49)です。

 長期企画「NIIGATA アニメ クロニクル」の一環で、新潟日報社は単独インタビューを実施しました。長井さんのアニメ制作への思いや作品誕生の秘話などを紹介します。

◎長井龍雪(ながい・たつゆき)1976年、新潟市秋葉区(旧新津市)生まれ。新津第一小学校、新津第一中学校、新津南高校を卒業。新潟デザイン専門学校を経て、新潟県内の印刷会社に入社するが、東京への転勤を機に退職。情報誌で制作進行のアルバイトの求人を見つけ、アニメ業界に入った。『ハチミツとクローバーⅡ』(2006年)で初監督。脚本の岡田麿里、キャラクターデザイン・総作画監督の田中将賀と共に「超平和バスターズ」名義で原作から手がけ、埼玉県秩父市が舞台のテレビアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2011年)を制作。長井は、文化庁の芸術選奨メディア芸術部門新人賞を受賞した。3人は映画『心が叫びたがってるんだ。』(2015年、ここさけ)、映画『空の青さを知る人よ』(2019年、空青)も制作し、これらの作品は「秩父3部作」と呼ばれている。秩父はファンが訪れる「聖地」となっている。
『あの花』の秩父限定グッズに使われている描き下ろしイラスト。テーマはストーリーの鍵を握る秩父の龍勢祭(C)ANOHANA PROJECT

-子供の頃から絵を描いたり、アニメを見たりするのは好きでしたか。

 絵を描くのも好きでしたし、アニメはもちろん好きで朝や夕方に見ていました。小学生の時に『機動戦士Zガンダム』があって『重戦機エルガイム』、『聖戦士ダンバイン』とか富野由悠季さんの作品はずっと追いかけてましたね。『ベルサイユのばら』、『あしたのジョー』も見てました。

-テレビ放送から10周年を迎えた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』では監督を務めました。

 最初はまるで信じられなくて、いまだに何となくふわふわしています。小さい頃ガンダムの落書きしてたのに、自分の作品がガンプラ(ガンダムのプラモデル)になっているのは感慨深いです。

-新潟デザイン専門学校に進学した頃は、アニメを仕事にすることは考えていませんでした。

 アニメ業界への入り方も分からないくらいでした。でも『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や『新世紀エヴァンゲリオン』を見て、少し離れていたアニメに再び興味を持つようなりました。攻殻機動隊の映像美、アダルトな雰囲気がかっこよくて、「今のアニメはこうなってるんだ」って。そんな下地があったから、アニメ制作進行のバイト募集が、自分に引っかかったんだと思います。

インタビューに答える長井龍雪さん=東京都内

-アニメ監督を目指した理由を教えてください。

 「この作品はこういうものです」というのを全部提示して、1本の作品にまとめ上げるのが監督の仕事です。最初から最後まで一緒に作品の出来上がるさまを見て、最終的に作品が出来上がること自体がやはり楽しいですね。各話の演出だと、...

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