
一人芝居「パンダのパン屋さん」(左)と「悪魔」の河除静香。自らの体験に基づくシナリオで演じている=2025年9月、富山県(撮影・今里彰利)
薄暗く、静まりかえった富山市立山田中学校の教室。スポットライトの下、道化師の衣装を着た河除(かわよけ)静香(しずか)(50)が一人芝居で独白する。「父さん、母さん、私はなぜこのような顔で生まれたのですか」。黒いマスクを外すと、膨らんだ口元が現れ、生徒たちの視線が集まった。
体の向きを変え、今度はいじめっ子「S」を演じる。強い口調で吐き捨てるように言う。「基本的人権? 君にはそんな権利はない。人間じゃなくて化け物なんだから」
芝居のタイトルは「悪魔」。主人公が悪魔と取引し、Sの子どもを自分と同じ顔にする呪いをかける。「見た目問題」を世に問いかけるシナリオは、自身の体験から生まれた。「基本的人権...
残り1985文字(全文:2285文字)















