デニソワ人のものと特定された、台湾沖で発見された下顎の化石(張鈞翔氏、張介宇氏提供)
 デニソワ人のものと特定された、台湾沖で発見された下顎の化石(張鈞翔氏、張介宇氏提供)
 コペンハーゲン大と同等の厳しい混入防止環境を実現するため、総合研究大学院大に設置された古代タンパク質分析研究室に立つ蔦谷匠さん(本人提供)
 総合研究大学院大の蔦谷匠助教
 化石に含まれる古代タンパク質について説明する岡山理科大の辻極秀次教授
 岡山理科大の辻極秀次教授

 絶滅した生物の化石に含まれる古代のタンパク質を分析する研究が注目されている。DNA解析とともに、生物の進化の過程を探り、実像に迫る手法として期待が高い。

 最近では、謎に包まれていた絶滅人類の分布域や姿の解明を進める成果も発表された。恐竜など年代が格段に古い生物の化石でも可能になれば、太古の生命の研究に大変革をもたらしそうだ。

 ▽DNAより安定

 2025年4月、総合研究大学院大の蔦谷匠助教らの国際研究チームは、過去に台湾沖で見つかった原始的な人類の下顎化石を、旧人「デニソワ人」のものと特定したと発表した。

 デニソワ人は、シベリアの洞窟の4万8千~3万年前の地層で見つかった骨の断片のDNA解析に...

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