
「開会の祈り」を前に、他宗教の指導者らとあいさつを交わすカディル・サンジュ(左から2人目)=2025年9月、ベルリン(撮影・峯岸進治、共同)
暖色系の塗装が施された礼拝室に、宗教も民族も超越した光景が広がった。ベルリンの閑静な住宅街にたたずむ「ウィルマースドルフ・モスク」。5回目の開催となったムスリム(イスラム教徒)文化週間の「開会の祈り」でイスラム教、キリスト教、ユダヤ教の指導者や神学者が一堂に会した。イスラム教の聖典コーランの朗唱が終わると、厳粛な雰囲気の中、一人ずつ順に祈りをささげていく。
「神よ、平和を」。イスラム教のイマーム(指導者)で、異宗教間対話を推進するトルコ系移民2世のカディル・サンジュ(47)が静かに唱えた。ドイツでは労働力不足に陥った第2次大戦後、トルコから移民を大量に受け入れてきた。しかし差別や偏見は消えず...
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