
福和伸夫・名古屋大名誉教授
新しい首都直下地震の被害想定が示された。幕末の安政江戸地震、大正の関東大震災の後の状況を見ると、首都の被災は社会の在り方に大きく影響した。それだけで国難とも言える。さらに過去の経験から南海トラフ巨大地震との連動や、富士山の噴火も視野に入れて備えた方がいい。
ITの発達といった社会の変化に伴って、想定外の事態も起こり、それが長期化する可能性もある。それらを十分に意識した上で、人口や経済が東京に一極集中する状況を見直し、安全な首都を目指すべき時期である。
東京圏1都3県の人口は計約3700万人と国内人口の3割を占める。ここを中心に被災する。狭い地域に密集して住めば、能登半島地震や阪神大震災と同じ...
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