「近藤喜文さんの描く女性は品があって都会的。世界名作劇場の描き手は皆さんうまいが、近藤さんが一番」と語る佐藤好春=東京都

 スタジオジブリの同時上映作品「火垂(ほた)るの墓」「となりのトトロ」を巡り、キャリアの大きな転換点を迎えたアニメーターが、もう1人いた。現在、日本アニメーションに所属する佐藤好春(67)だ。

 火垂るの墓に携わることが決まっていた近藤喜文は、信頼する佐藤をトトロに推薦。佐藤は作画監督に登用された。「ジブリには自分よりもっとうまい人がたくさんいる。日アニ時代の仕事を見ていてくれて、うれしかった」

 佐藤は1979年、日本アニメーションに入社。テレビアニメ「世界名作劇場」シリーズの「赤毛のアン」の制作途中で加わり、当時在籍していた近藤と出会った。

 近藤は長い脚を折って椅子にのせ、いつも前かがみで机に向かっていた。

 毎週の放送スケジュールに合わせるため、作業はタイトだった。作画監督の近藤は夕方に出勤し、作品のポイントとなる絵「原画」が仕上がってくると、夜を徹して確認していた。

日本アニメーションが所有する近藤喜文が描いた「赤毛のアン」の複製画(C)N.A. TMAGGLA

 佐藤は「いろいろな仕事をしてきたが、あれほど真摯(しんし)で厳しい仕事の仕方は見たことない」と振り返る。

 原画の間の絵を描く「動画」を担当していた佐藤にとって、...

残り1340文字(全文:1810文字)