現実路線への政策転換と言える。誠実に説明を尽くし、有権者の理解を得る努力を重ねていかなければならない。
立憲民主、公明の両党が結成した新党「中道改革連合」が初の衆院選に臨む。野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏が共同代表に就き、衆院の160人超が参加した。与党と対決し、政界再編を目指す。
「生活者ファースト」を掲げた22日の結党大会で、斉藤共同代表は「私たち中道の固まりが日本の政治を変える」と力を込めた。
衆院選では短期間で作った政策の内容が問われることになる。
特に注目されるのが、立民、公明の温度差を指摘されてきた安全保障分野の政策だ。
集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法について、中道は基本政策に「存立危機事態での自国防衛のための自衛権行使は合憲」と明記した。
安保関連法は安倍晋三政権下の2015年、与党だった公明も賛成して成立した。
これに対し、立憲の前身である民主党は国会審議で猛反対し、17年の結党に際して基本政策に「違憲部分の廃止」を記した。昨年の参院選でも、同様の主張を掲げて戦っていた。
立民として根幹をなす政策だったはずである。急な転換に違和感を抱く支持者は多いだろう。
立民には、現実的な路線への転換を図ることで政権担当能力を示そうとする狙いがあるとされる。だが、理念を犠牲にし、なし崩し的に政策を変更しては、理解に苦しむ有権者もいる。
転換の経緯について真摯(しんし)な説明が必要だ。
原発政策では、安全性の確実な確認、実効性のある避難計画、地元合意を条件に、再稼働を容認するとした。
立民が主張してきた「原発ゼロ」は、中道の基本政策では「将来的に原発へ依存しない社会」と、公明寄りの表現にシフトした。
原発の位置付けを巡り、党の姿勢が揺らいで見えるようでは有権者を混乱させる。
県内では、東京電力柏崎刈羽原発6号機の再稼働に当たってトラブルが重なり、再び原子炉が止まった。不安を抱える県民も多い。
有権者に判断基準を示すためにも、中道は中長期の原発・エネルギー政策を明確に示すべきだ。
衆院選で中道は、自民党派閥裏金事件を念頭に企業・団体献金の規制強化を掲げて臨む。
非核三原則の堅持、選択的夫婦別姓や多文化共生の推進といった政策は、タカ派色の強い高市早苗政権との対決姿勢を強く打ち出したものだろう。今年秋からの食料品の消費税ゼロなども訴える。
財源や実効性を含めた政策論で戦うのが野党第1党の責任だ。衆院選では、具体性のある論戦を展開することが求められる。
