巨大与党の横暴が目に余る傲慢(ごうまん)な国会運営と言わざるを得ない。審議を軽視し、議論を尽くそうとしないのは、国民を蔑ろ(ないがし

 )にしているに等しい。

 2026年度予算案は13日、与党の賛成多数で衆院を通過した。与党が採決を強行した。

 衆院通過は、自民党が委員長ポストを持つ予算委員会で、坂本哲志委員長が「与野党の合意がない場合は職権で決めざるを得ない」として、採決実施と本会議への緊急上程を決めたことによる。

 高市早苗首相が指示した予算の年度内成立に向け、巨大与党が「数の力」を背景に、スケジュールありきで突き進んだ。

 だが、予算委の審議時間は59時間で、00年度以降で最短だった07年度の66時間30分を下回り、どう見ても少ない。中道改革連合など野党が審議の充実を求めたのは当然で、委員長の対応は中立公正だったとは言い難い。

 予算委は、予算案に限らず、国政全般を議論する場だ。審議時間の短縮は、国民が政府の方針を知る重要な機会を奪うものであり、与党の対応は看過できない。採決を強行したことも国会運営に禍根を残し、極めて遺憾である。

 26年度予算案は支出に当たる一般会計の歳出総額が122兆3092億円と過去最大で、財源の多くは国民が納める税金だ。

 その予算案に審議を尽くさず、政権の意向を優先するのでは、国会が国民を代表するチェック機関としての権能を、自ら放棄していることになる。

 そもそも、予算案の審議入りが大幅に遅れたのは、首相が1月の通常国会冒頭で衆院解散に踏み切ったことに起因する。

 予算審議のさなかに米国とイスラエルによるイラン攻撃が起き、中東情勢が緊迫化しているとはいえ、審議時間の短縮を正当化する口実にしてはならない。

 首相は、2月に行った施政方針演説で「さまざまな声に耳を傾け、謙虚に、しかし大胆に、政権運営に当たる」と述べたことを忘れず、幅広い国民の声をくむ謙虚な運営を心がけるべきである。

 予算案は参院での審議に移るが、もともと日程が窮屈な上、3月後半は首相の訪米も予定され、年度内成立は不透明だ。

 与党は衆院で4分の3を超えるものの、参院は過半数に4議席足りず、数の力に頼れない。

 参院では審議時間を十分に確保し、首相が率先して丁寧な説明に努める必要がある。

 予算案の衆院通過を通じて垣間見たのは、今後、首相が強い意欲を示す「国論を二分する」という政策を、与党が数の力でごり押しする可能性があることだ。

 国論を二分する重要政策の是非を判断するには、建設的な議論が不可欠だ。野党が結束し、力を発揮できるかが試される。