交戦地域が拡大し、戦闘は激化、民間人の犠牲者も増え続けている。一刻も早く停戦するよう、関係国に強く求める。

 イランの核問題を巡る協議中に、米国がイスラエルと共にイランを攻撃して7日で1週間だ。

 最高指導者ハメネイ師や精鋭部隊、革命防衛隊幹部らを殺害後も、全域の制空権を掌握するため、内陸部まで攻撃範囲を広げた。インド洋の公海上では、軍艦を魚雷で撃沈した。

 米国は、まだ作戦の「初期段階」とし、圧倒的な軍事力で長期戦も辞さない構えだ。

 一方、イランは中東各地の米軍駐留基地だけでなく、周辺国のエネルギー施設もミサイルで攻撃した。世界の原油供給の約2割が通過するホルムズ海峡を事実上封鎖し、タンカーを攻撃している。

 エネルギー価格の高騰など経済的影響を深刻化させることで、対抗しているとみられる。

 イランから攻撃を受けた周辺国が参戦し、地域紛争に発展する事態が懸念される。

 さらに多くの民間人が巻き込まれる恐れのある事態は、絶対に避けねばならない。

 イラン外交筋によると、イランはトルコなどに停戦の仲介を依頼しているという。米通信社は、中東諸国の中にはトランプ米大統領に対し、戦争終結を説得する動きがあると伝えた。

 戦闘の当事国だけで停戦交渉を行うのは困難だ。関係国や国際社会の働きかけによって、外交解決の糸口を探りたい。

 イランへの攻撃は「法の支配」の原則を揺るがすものである。にもかかわらず、高市早苗首相はイランによる攻撃で民間人の死者が出たことを非難する一方、米国の攻撃には評価を避けてきた。

 今月訪米し、トランプ氏と首脳会談を行う際は、同盟国として自制を求めてもらいたい。

 懸念されるのは、今回の攻撃が日本経済に深刻な影響を及ぼす可能性が高いことだ。

 日本は原油の9割以上を中東に依存し、多くのタンカーがホルムズ海峡を通過する。火力発電の燃料や都市ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)の有力な生産国、カタールは生産を中止した。

 石油は254日分、LNGは約3週間分の備蓄があるが、ガソリンや電気、ガスが値上がりし、食品や日用品に波及しかねない。

 政府は今後、物価の動向に、一層きめ細かく目配りをしなければならない。

 中長期的には政情が不安定な中東へのエネルギーの依存度を下げ、調達先を多角化する方策を真剣に検討すべきである。

 イランやイスラエル、周辺国には多くの邦人が滞在している。希望者を帰国させるためのチャーター機の手配など、支援に万全を期してほしい。