高額な献金被害の苦しみに真正面から応えた当然の決定といえる。教団は不服申し立てをせずに、全ての被害者への賠償を速やかに進めるべきだ。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求を巡る即時抗告審で、東京高裁は4日、解散を命じた東京地裁決定を支持し、教団側の即時抗告を退ける決定をした。

 決定理由について高裁は「現在も不法行為に当たる献金勧誘が行われる恐れがあり、解散はやむを得ない」と判断した。

 教団側は2009年にコンプライアンスの徹底を宣言したが、高裁は「対策を自発的に取ることは期待しがたい」とした。

 09年以降も献金被害が続いたことを重く見て、信者による不法行為を防止する措置が不十分だったと判断したのだろう。幹部らが決めた献金の数値目標が宣言以前と同水準だった。

 昨年の地裁決定は、被害は少なくとも1500人超の約204億円に上り、「類例のない膨大な被害が出た」としていた。

 22年には、信者を親に持つ「宗教2世」による安倍晋三元首相銃撃事件が起きた。多額の献金で加害者の家庭が崩壊し、献金被害の過酷な実態が明らかとなった。

 教団の行為が、解散命令の要件となる「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当するのは明白だ。

 宗教法人への解散命令は3件目だ。過去2例は刑事事件化した犯罪行為が理由で、民法の不法行為によるものは初めてとなる。

 高裁の決定により、命令の効力が生じ、裁判所が選任した清算人が教団財産を調査・管理し、被害者への弁済などの清算手続きが始められた。教団は宗教法人格を失って、税制上の優遇措置を受けられなくなる。

 教団側は「不当な司法判断」とし、「最高裁への特別抗告を含め、闘い続ける」とコメントしたが、理解しがたい。

 清算人が進める被害者への弁済に全面的に協力し、救済を第一に考えるべきだ。

 政府には、早期救済を図れる実効性のある法整備を進めることや、再発防止策をしっかりと講じてもらいたい。

 懸念されるのは、教団が財産の移転先として、友好関係がある北海道帯広市の宗教法人「天地正教」を指定していたことだ。

 被害者側弁護士によると、教団の残余財産が天地正教に移ると、清算後に判明した被害の弁済につながらないという。

 天地正教に移った財産が原資の宗教活動は税優遇の対象となり、解散命令の実効性が骨抜きになる恐れもある。

 宗教法人法の財産移転規定の適用除外や天地正教の実態把握なども考えねばならない。