第1次訴訟に続き、司法の判断は明確に示された。国は多くの被害者を切り捨てる現行の基準を改め、全ての被害者を救済できる制度を構築しなければならない。
新潟地裁は12日、新潟水俣病第2次行政認定訴訟で、8人全員を患者と認定するよう、県と新潟市に命じる判決を言い渡した。
原告の男女8人は2013~15年に県や市に公害健康被害補償法(公健法)に基づく水俣病認定を求めたが、棄却された。原告はこの棄却処分の取り消しと認定の義務付けを求めていた。
新潟水俣病の認定を求めた行政訴訟では、17年に9人全員の認定を命じて確定した第1次訴訟の東京高裁判決に続く判断だ。
地裁判決は、症状が感覚障害のみの原告を水俣病として認定した高裁の判断枠組みを維持した。
原告一人一人の症状や食生活、家族の認定状況などを精査した結論で、妥当だ。
原告側の内山晶弁護団長は「ほぼ百点満点であり、公正な判決が下された」と評価した。
今回の裁判では、改めて水俣病の認定基準が問われた。
国は1977年に、認定基準を厳格化し、感覚障害と運動失調など、複数の症状の組み合わせを原則とした。これ以降、認定される患者数は激減した。
2013年に最高裁がこの原則を事実上否定する判決を出した。17年の高裁判決や、今回の地裁判決もこの判断を踏襲した。
環境省は最高裁判決を踏まえ、感覚障害のみでも認定可能とする一方、魚介類の入手方法など資料による裏付けを求めた。被害者団体からは「認定がより厳しくなった」との指摘が上がる。
国の基準と、司法判断が異なる状況となっており、今後も同様の訴訟が続く可能性がある。
高齢化する被害者が、長期間にわたる裁判によらずに認定されるよう、国に現行基準の見直しを強く求める。
19年の提訴から判決まで7年かかり、裁判中に亡くなった原告もいる。判決後の原告の「長かった」「なぜこんなに(時間が)かかったのか」という言葉は重い。
県と市は国の法定受託事務として水俣病の認定審査を行っているため、被告となった。これ以上原告の苦しみを長引かせることは許されず、控訴を見送るべきだ。
新潟水俣病を巡っては、新潟地裁で第5次訴訟が係争中だ。
水俣病公式確認から5月で70年となり、新潟水俣病確認からは60年以上がたった。今なお、救済を求める声が絶えないことを、国は重く受け止めるべきだ。
差別や偏見を恐れて名乗り出ることのできない被害者もいる。広く救済の網をかけるためには、被害の全容を把握する必要がある。被害者団体が求める健康調査の実施も検討してほしい。

