厳冬期決戦が始まる。政界の新たな構図の下での戦いだ。
国内は物価高に疲れ、国際社会は秩序崩壊の危機にある。政治が向かおうとする先に誤りはないか。各党が訴える公約に目を凝らしたい。
衆院選がきょう27日に公示される。解散翌日から投開票の2月8日まで16日間しかない戦後最短の決戦となる。
前回2024年10月の衆院選で自民、公明両党の政権は過半数を割り、25年7月の参院選でも大敗し、政策実現の推進力を欠いていた。
石破茂前首相から政権を継いだ高市早苗首相が、政権基盤の強化へ勝負に出た解散・総選挙といえる。
◆大いに消費税議論を
これまでとは構図が大きく異なる。26年間協力関係にあった公明が政権から離れ、代わりに昨年10月、日本維新の会との連立が発足した。
解散前の衆院議席数が過半数ぎりぎりだった自維連立に、信任を与えるかが焦点になる。
自維の連立政権合意書には憲法9条改正や、安全保障関連3文書の前倒し改定など保守的な内容が並ぶ。
高市首相が維新との連立によりタカ派色を強めようとする中、対抗軸として中道改革連合が結成された。
野党第1党の立憲民主党と、政権を離脱した公明が中道勢力の結集を目指す。だが両党は元々、安全保障や原発、憲法改正といった基本政策の温度差が指摘されており、理念なき野合との批判がある。
一方、高市首相に対しても、高い内閣支持率を背景にした身勝手な解散との非難が強い。
いずれにも「選挙目当て」との厳しい目が向けられる。
求められるのは活発な論戦だ。日本の在り方について各党は明確なビジョンを有権者に示してもらいたい。
論戦の柱となるのは安全保障や国民生活の分野だろう。
大国の覇権主義が懸念されている。国際協調へ、日本が果たせる役割があるはずだ。そのとき問われるのは平和国家としての日本の姿である。
戦後の歩みの土台ともいえる非核三原則について、高市首相は見直しを検討する。被爆地の広島、長崎からは反発の声が上がる。首相の国家観が重要な争点になる。
課題の物価高対策としては、消費税の軽減や廃止といった公約が与野党から出ている。
税収が減る分をどう埋めるのか。消費税を財源とする社会保障を含めた議論が必要だ。負担を先送りしては将来世代の不安を招く。各党は若年層に説明できる財源を示してもらいたい。
◆「政治とカネ」も重要
忘れてならないのは「政治とカネ」の問題である。
企業・団体献金の存廃に関しては、与野党が25年3月末までに結論を得ると申し合わせていた。しかし各党が主張を譲らず、結論を出せていない。
自民は派閥裏金事件に関係した議員らを公認し、比例代表への重複立候補を認める方針だ。有権者の理解を得られるか、注目したい。
戦い方もポイントになりそうだ。昨年の参院選で議席を伸ばした国民民主党や参政党は、交流サイト(SNS)を足掛かりに支持を広げている。
本県にとって気がかりは、原発・エネルギー政策やコメ政策である。コメに関し高市政権は「需要に応じた生産」へ回帰した。米価の高止まりをどう捉えるか、各党は語るべきだ。
今回の衆院選は県内5小選挙区に計19人の立候補が予定される。全選挙区で自民と中道がぶつかり、維新、国民民主、共産、参政の各党が切り込む。
急な解散と大雪の影響を受け、県内の多くの市町村で投票所入場整理券の発送が28日の期日前投票開始日に間に合わない事態になっている。整理券がない場合も本人確認ができれば期日前投票は可能だ。
誰もが一票を投じられる環境を整えねばならない。
昨夏の参院選期間中は、外国人に対する差別的な主張やデマが拡散された。憂える事態だ。誤った情報の拡散が、民主主義をゆがめてしまいかねないことを社会として認識したい。
