(絵:100%ORANGE)
(絵:100%ORANGE)

 京都の冬のたのしみは、食卓にのぼる、うつくしいお月さまだ。

 千枚漬。聖護院かぶらに利尻こんぶ。そのまま皿に盛るなら満月、包丁で半月に割ってもいい。こんぶは刻んで、むら雲みたいに添える。

 お酒とも、ごはんとも、合うどころか、それぞれのうまみを、きよらに、ふくよかに倍加させる。ほの白くかがやくその輪郭をみつめながら、この季節、この町に住んでいてよかったな、としみじみ思う。

 それぞれの町に、きっとある。冷えた空気や雪にとりまかれ、家のなかでみなが顔を合わせがちな年の瀬、年明けの時間を、まんまるくつないでいく、特別なごちそう。北海道にも東北にも、関東にも、中部にも四国にも、中国にも九州にも。

 ソウル...

残り336文字(全文:636文字)