日本経済は株高、円安、金利高が同時進行する「高市トレード」が続く。物価高と住宅ローンの負担増が国民にのしかかる。

 衆院選では負担を軽減しようと、与野党が消費税の減税を公約している。財源を明確に示した上で、論戦を行ってほしい。

 高市早苗首相は「責任ある積極財政」を掲げ、巨額の2025年度補正予算を編成し、歳入の6割超を国債発行で賄った。26年度当初予算案は過去最大になった。

 金融市場では積極財政への期待の一方、財政悪化への警戒も強まり、円と国債が売られている。この状況の下、各党は選挙戦で消費税の減税策を競い合っている。

 飲食料品を8%からゼロにする公約や一律で5%に下げる公約が出ている。「2年限定」や「恒久的」といった期間の違いもある。

 代わりの財源としては、他の税金の軽減策や補助金を縮小することや、国の資産の運用、基金の活用などが挙げられている。

 その実現可能性を各党はしっかり説明してもらいたい。

 民間シンクタンクの試算では、飲食料品の消費税をゼロにすると、平均で1世帯当たり、年間8万8千円負担が減る。

 浮いたお金が買い物に使われれば、経済が活性化し、働く人の賃金が増える好循環を期待できるかもしれない。

 一方、消費税全体の税収は25年度の当初予算ベースで国と地方合わせて約31兆4千億円に上る。

 飲食料品を消費税の対象外にすると、税収は年間約4兆8千億円減るという。減税が国の危機的な財政をさらに悪化させるのではないかとの市場の懸念は根強い。

 忘れてならないのは、消費税が社会保障や地方自治体にとって欠かせない財源であることだ。

 国が使うのは約20兆円で、年金や医療、介護、子育て支援といった社会保障費に充てられる。残りの11兆円強は地方自治体の財源となり、社会保障に加え、行政サービスに活用されている。

 高齢化で社会保障費は増え続けている。地方は人口減による税収減も深刻だ。

 消費税の減税分を穴埋めできなければ、社会保障制度の持続性が危ぶまれる。

 外食に適用される10%の消費税率は変わらない見通しだ。弁当や総菜の税率がゼロになると、飲食店の顧客離れが心配される。

 税率変更はこれまで準備や周知期間を考慮して、法案提出から2年以上を要してきた。喫緊の物価高対策に不向きとの見方もある。

 一度下げた税率を再び上げるのは難しいと指摘する識者もいる。

 長期的視野に立った丁寧な議論が求められる。