(絵:100%ORANGE)
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 先日レンタカーで長い信号を待っていて、不意によみがえった記憶がある。

 学生時代、知人に借りたクルマに乗り、京都北山あたりの小さな交差点で、長い長い信号を待っていた。こん、こん、と助手席の窓をたたく音がして、ふりかえると、見るからにヤバそうなヤンキーの若者がすきっ歯をみせて立っていた。

 窓をあけ、なんですか、と聞いた。

 「兄ちゃん、たこ焼き買うてくれへんか」

 若者はなれなれしげな巻き舌でいった。

 「オウ、買うてくれや、たこ焼き買うてくれて、頼んでんねんけ、オウ!」

 信号はまだ変わらない。ぼくはため息をつき、なんぼですか、と尋ねた。

 「千円や。兄ちゃん、まいど!」

 千円札を受けとると、若者は上機...

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