
岩手の実家の味を再現したみその出来栄えをみる藤井寛さん(左)と妻の康代さん=2月、新潟市南区
被災地で失った味を新潟で再現した。新潟市南区のみそ店「糀(こうじ)屋団四郎」を営む藤井寛(ゆたか)さん(42)は、2011年3月の東日本大震災で岩手県陸前高田市の実家のみそ蔵が津波に流され、父と祖母を亡くした。みそ造りを一度諦めたが、縁があって団四郎に婿入り。仕込んでいた実家のみその「復刻版」が今月、出来上がった。「前よりもおいしくなったかな」。震災からあと1カ月で15年。心に浮かぶのは故郷の光景だ。
寛さんの実家は1834年創業の「和泉屋本店」。地元の住民が容器を持参して買い求め、学校給食でも使われた自慢のみそだった。東京農業大で醸造を学び、他の蔵での修業を経て帰郷。7代目の父と働いていた時、震災に見舞われた。
強烈で長い揺れ。配達後に立ち寄ったガソリンスタンドの鉄骨が崩れるかと思った。消防団員だった寛さんは高台への避難を呼びかけ、自分も山へ向かった。
最大浸水高17メートルの津波が押し寄せた。横滑りして流される家々。瓦解(がかい)した建物から出る粉じんで視界はかすんだ。...
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