「子どもたちが帰ってきてくれた」-。2011年に東日本大震災の津波で3人の子を亡くした宮城県石巻市の今野浩行さん(63)とひとみさん(55)夫妻のもとに、新潟市秋葉区出身の画家小林憲明さん(51)が描いた家族5人の絵が届いた。最愛の子どもたちを失った日から14年。家族は1枚の絵の中で再び一緒になった。夫妻は「また会えたみたい」と、穏やかな表情で絵を見つめた。(報道部・大橋麻衣)

 絵は、25日に小林さんが今野さん宅を訪ね、遺影が飾られた仏間で手渡した。座った夫妻を取り囲むように身を寄せ合う子どもたち。満面の笑みで描かれた浩行さんを眺めたひとみさんは、「震災後にこんなに笑っている夫を見るのは初めて」と語り、目に涙を浮かべた。

 「期待以上だ」と浩行さん。いつも撮影役だったため、家族全員がそろった写真は1枚もない。

 家族5人の絵の作成は、震災被災者を描く小林さんの活動を知人から伝え聞いたひとみさんが、「温かい家族の記憶を形に残したい」と依頼した。「絵がお父さんの生きる希望の一つになってほしい」。...

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