「富岡町3・11を語る会」の宗像涼さん。「人と関わるのが苦手だった。語り部になって、勇気につながる自信を持てた」=2月、福島県富岡町
 「富岡町3・11を語る会」の宗像涼さん。「人と関わるのが苦手だった。語り部になって、勇気につながる自信を持てた」=2月、福島県富岡町
 富岡中2年の菅野涼さんが制作した町内の桜の木を題材にした紙芝居

 駆け出しの語り部だった6年半前。東京の企業関係者を前に、10代で体験した地震や避難の記憶を語った。「子ども目線の話が聞けてよかった―」。参加者の思いがけない感想に福島県富岡町の宗像涼さん(27)は胸を打たれた。若いからこそ語れる思いがある。そう実感できた瞬間だった。

 小学6年で震災と東京電力福島第1原発事故による全町避難を経験した。その後は転居の繰り返し。「なんてことない、ただの人生だった」。将来の夢はなく、人と関わらないよう生きてきた。

 転機は故郷に戻った2019年。学生時代の縁がきっかけで伝承活動を行う「富岡町3・11を語る会」で職を得た。特別な思いはなかったが、「帰ってきた町民として、...

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