澤宮優さん
 澤宮優さん

 「今の若者はアニメを見て遊郭に憧れ、花魁の格好をしてみたいと言う。負の遺産への向き合い方を考えないといけない時代に来ていると感じます」と語るのは、ノンフィクション作家の澤宮優さん。新著で、明治期につくられ、戦後の売春防止法施行で廃止された熊本市の二本木遊郭の歴史を掘り下げた。

 取材を始めたのは16年前。高度経済成長期に廃れていった仕事を追った著書「昭和の仕事」の刊行後、ある編集者に「これも昭和の仕事ではないか」と持ちかけられたテーマが二本木遊郭だった。「娼妓という究極の職業を通して、社会の底辺や暗黒の部分を捉えてこそ、昭和という時代をつかめる」と二つ返事で了承した。

 だが取材は難航した。歳月...

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