
「自分の基準で、価値ある文章を生み出せたと思う時は、やはり嬉しいです」と話す坂本湾さん
「BOX(箱)」を4回重ねた小説のタイトルには、「現代社会の労働」に対する鋭い批評が込められている。坂本湾さんのデビュー作「BOXBOXBOXBOX」(河出書房新社)に充満するのは、労働者に重くのしかかる先の見えない閉塞感だ。「自分が感じた焦燥感や負の感情を把握するために」と書き上げ、昨年、文芸賞を受賞。芥川賞候補にも選ばれた。
舞台は、霧が立ちこめる配送センター。ベルトコンベヤー上を流れる荷物を仕分ける若者は、箱の中身を妄想しながら時間をやり過ごす。疲れ果てた作業員、当面の生活費が必要な新人、指導係の契約社員もいて、建物の中には時折、彼らを監視する社員の罵声が響き渡る。そしてある時、若者の...
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