新潟日報朝刊で好評連載中の遠藤麻理さんのコラム「なんとかなる」が、デジタルでもご覧いただけるようになりました。デジタル限定で過去のバックナンバーもこちらで順次再掲していきます。

 出会いと別れの春ですね。

 高校を卒業して東京に出た春は、さすがの私もしばらく心細さを感じました。

 西武新宿線沿いにある学生寮に入ったのですが、夜になると、テレホンカードを束にして持って駅前の公衆電話まで通いました。携帯電話などない時代です。

 ただ公衆電話の前までは行くのですが、ここで家にかけてしまったら、寂しい気持ちが止まらなくなるだろうし、わがままを言って出てきたのに早々に弱音を吐くなんてみっともないという気持ちに押しとどめられ、しばらくうろうろしてはトボトボと寮に帰りました。

 それは本当にちょうど今頃の、桜が東京で満開の時期のことで、この季節になると甘酸っぱく記憶がよみがえります。

 それが3カ月後の夏休みの頃になるともう全然帰らないし連絡もしなくなりますから、つくづく、若さとは適応力です。

 ラジオ番組宛てにも、息子や娘が県外に巣立って寂しいという親御さんからのメールが届きますが、寂しいというのはとても尊い感情です。

 寂しいのは、...

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