放鳥へ向け5羽順化ケージに
佐渡トキ保護センターは2007年7月10日午前、佐渡市新穂正明寺の野生復帰ステーションの「順化ケージ」にトキ5羽を放った。2008年に予定される試験放鳥へ向けて、餌を捕ることや飛ぶことなど、本格的な訓練が始まった。【2007/07/10】

5羽は2006年生まれの雄3羽と雌2羽。先月末、センターから順化ケージに接する小規模な「放鳥口ケージ」に移送された。当初6羽放鳥する予定だったが、雌1羽がけがをした。
この日の放鳥は、センター職員が順化ケージと放鳥口ケージを隔てるネットを開放。1羽が順化ケージの奥まで飛び、残りの4羽は歩いてケージの中に入っていった。5分ほどで、もう1羽が飛び立ち、ケージ内を旋回した。
順化ケージは長さ80メートル、幅50メートル、高さ15メートル。内部は棚田をイメージし、苗も植えられた池がある。またコナラなど現地の樹木が移植されている。
餌となるドジョウなどは、ケージ脇の給餌棟から管を通して水場に流し込まれる。これまで職員が直接給餌してきたのと違い、餌を探して食べることが最初の訓練となる。
放鳥に先立って行われた式典で、泉田裕彦知事は「人とトキが共生できる社会を作っていきたい。大空に羽ばたく日を1日も早く見たい」とあいさつした。環境省の田村義雄事務次官は「トキはセンターとだいぶ違う環境に来た。訓練の状況を見ながら来年秋の試験放鳥を目指したい」と話した。
センターは今冬までに今年生まれたトキなどから7羽程度を選び、再びステーションに移送する。