トキ舞う空へ新たな旅立ち 初の分散飼育 4羽、多摩動物公園に移送

 佐渡トキ保護センター(佐渡市新穂長畝)で飼育されていたトキ4羽が2007年12月13日正午前、東京都の多摩動物公園に移送するため、センターを出発した。分散飼育を行うことで、鳥インフルエンザなどの大量感染の危険を減らすのが目的。トキが佐渡以外で飼育されるのは、1981年の野生トキの全鳥捕獲以降、初めて。【2007/12/13】

多摩動物公園に移送されるトキ。非公開で飼育される(佐渡トキ保護センター提供)

 4羽は、繁殖経験のある2001年生まれのペアと、雄と雌がそれぞれ01年、03年に生まれたペア。トキ類の飼育実績が長く、人工飼料や繁殖技術などで同センターの技術支援もしている多摩動物公園内の隔離された環境で、非公開で飼育される。期限は決まっていない。

 トキは同日午前11時50分ごろ、移送箱に入れられた状態で運搬車に積み込まれた。カーフェリーで新潟港に着いた後、陸路で午後9時ごろに同公園に到着する予定。

 同センターの長谷川勝所長は「送り出して寂しい気持ちもあり複雑ではあるが、鳥インフルエンザの脅威には勝てない」と語った。環境省の岩浅有記自然保護官は「健康状態が良く、特に繁殖の成績の良いペアを選んだ。環境が激変するので、早く慣れて繁殖ができるよう期待している」と話していた。

 また同日午前、中国から11月に贈られ、同センター野生復帰ステーション(同市新穂正明寺)で隔離検疫を行っていた「華陽(ホワヤン)」「溢水(イーシュイ)」の2羽がセンターに移送された。このほか、繁殖訓練のための4ペア計8羽がセンターからステーションに運ばれた。

 これでトキ保護センターで飼育中のトキは91羽となり、うちステーションには25羽がいる。