トキ色の翼、再び佐渡の空に

 佐渡市でトキ10羽が2008年9月25日午前、試験放鳥された。トキが佐渡の空を飛ぶのは1981年の一斉捕獲以来27年ぶり。トキは同市新穂正明寺の水田で木箱から放たれると、翼を羽ばたかせて舞い上がり、旋回したあと飛び去った。【2008/09/25】

薄紅色の羽を広げて箱の外へ飛び立った2羽のトキ。会場からは「飛んだ飛んだ」と喜ぶ声が沸いた=2008年9月25日、新穂正明寺

 放鳥された10羽は2005年から07年に生まれた雄、雌5羽ずつ。同所の佐渡トキ保護センター野生復帰ステーションでの飛行や採餌の訓練、健康状態を基準に選ばれた。

 式典には秋篠宮ご夫妻が出席。午前10時半すぎ、秋篠宮ご夫妻が2羽のつがいを空に放たれた。続いて関係者が8羽を一斉に放鳥。会場に集まった観客は薄紅の翼を広げたトキに歓声を上げた。

 放鳥に先立つ式典では、秋篠宮殿下が「これまでトキを守るため力を尽くした人々に感謝する。トキ色の羽を広げて佐渡の空を舞うのを楽しみにしている」と話された。国内で唯一トキを飼育した行谷小学校の5、6年生の児童28人も出席し、「トキの歌」を元気に歌った。

 10羽のうち6羽は、衛星追跡システム(GPS)を利用した小型発信器を装着。環境省などでつくるモニタリング専門チームを中心に、採餌行動などを観察する。

 佐渡では1967年にトキ保護センターが建設され、保護・人工増殖が進められた。国産トキは2003年にキンが死に絶滅したが、1999年に中国から贈られたペアによる人工ふ化に成功後、国内に生息するトキは増え、現在122羽となった。