「むれの会」を長年開いてきた自宅の部屋の黒板前に立つ吉沢久子さん=2015年7月、東京・杉並区

 新潟日報朝刊で、コラム「家事レポート」を半世紀にわたって執筆し、2019年に101歳で亡くなった生活評論家の吉沢久子さん。生活者の目線を大切にしながら、暮らしや社会の移り変わりを見つめた。夫としゅうとめを見送った後は1人暮らしを続け、高齢になっても前向きな生き方は、長寿時代のお手本として支持された。

 「書くことが張り合い」と語っていた家事レポートと同じくらい長い間、吉沢さんが東京の自宅を開放して続けてきた勉強会が「むれの会」だった。

 玄関を入ってすぐ左側の部屋に、学校にあるような半畳くらいの大きさの黒板がしつらえられ、テーブルと椅子が並んでいた。壁には書籍がずらり。ここで毎月、十数人の同人た...

残り3131文字(全文:3431文字)