衆院選の新潟県小選挙区の立候補者たちが、公示日の19日に行った第一声の街頭演説について、新潟日報社は、どのような政策課題を重点的に訴えたのか分析した=表参照=。多くの候補者が新型コロナウイルス対策や経済政策に時間を割いたが、ほとんどが現状報告やスローガンにとどまった。新潟日報社が継続して県内有権者に衆院選への関心を聞く「針路を選ぶ」では、積極財政に将来の負担増を懸念する声が上がるが、財源などの具体的な言及は乏しかった。
各選挙区で与野党が激突する構図となり、8人が述べたウイルス対策でも与党候補は実績を誇り、野党候補は批判に徹した。
与党候補はワクチン供給の実績を前面に出しつつ、「感染症を抑えながら経済も回していく」と力を込めた。一方、野党候補は「政府の対応は後手後手だった」と医療・検査体制整備の遅さを挙げた。与野党とも現金給付を訴える候補者がいたが、将来的な負担の在り方については明言しなかった。
ウイルス対策に次ぐ6人の候補者が触れた経済政策では、与党候補が株価の上昇や景気回復など、アベノミクスをはじめとする長期政権での実績をアピール。岸田文雄首相が掲げる成長と分配の好循環で、地方に所得が還元される構想を打ち出した。
これに対し、野党候補は「アベノミクスでお金持ちはさらにお金持ちに、貧しい人はもっと貧しくなった」と格差の拡大を指摘し、「自民党政権では皆さんがお金をちゃんと使える社会は生まれない」と非難した。経済政策でも与野党の対立が際立ったが、経済を好転させる具体的な施策はほとんど語られなかった。
東京電力の相次ぐ失態で有権者の関心が高い柏崎刈羽原発の問題を巡っては、候補者間に温度差が見られた。前回2017年の衆院選では15人中9人が第一声で原発に触れたが、今回は4人にとどまった。柏崎刈羽原発を抱える2区では、野党候補2人がそれぞれ演説の40%、20%を割いたのに対し、与党候補は言及しなかった。