専門店「玉子焼き の屋」の卵焼き。だしの味が染み込んでいる(写真映像部・芳本卓也撮影)

 キレイにくるくると巻かれた断面-。

 高校生の頃、毎日のように母がお弁当に入れてくれた卵焼き。「いつも同じで飽きないの?」と笑われてもリクエストを続けた。ふんわりとした優しい甘さは、デザートでもおかずでもない、特別なポジションを獲得していると思う。

 そんな卵焼き好きの記者が見逃せない店を新潟市中央区寺裏通で見つけた。

 その名も「玉子焼き の屋」。夕方、職場の新潟市役所に歩いて戻っていた時に、ガラス張りの店舗から温かい光が漏れていた。

 卵焼き専門店。初めて聞いた言葉だった。不思議に思い、道路から店内をのぞくと、並んでいたのは本当に卵焼きだけだった。

 店を営むのは、中林紘一さん(39)。江南区にも...

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