31日投開票の衆院選では、新潟県内6小選挙区の候補者の地方活性化対策に注目が集まる。新型コロナウイルスの感染拡大で東京一極集中が改めて問われ、分散型社会をつくる機運が高まったためだ。花角英世知事は期待する論戦に「地方創生」を挙げ、人口減少に悩む地域社会の課題に向き合うよう要望した。各候補者は、さまざまな視点で地方活性化を訴える。
80万人の大台を割り、人口減に歯止めが掛からない政令市・新潟。その中心部をエリアとする新潟1区の自民党新人は、地方のデジタル化を進めて都市との格差を縮める「デジタル田園都市国家構想」を訴える。
再開発が進む新潟駅前での演説で「東京からUターンしてもらい、豊かな自然環境の中、仕事はデジタル化でやってもらう」と声を張り上げた。新潟市長と二人三脚で交通インフラ整備も進めると強調した。
対する立憲民主党前職は賃金アップで人口流出を抑える政策を打ち出す。
街頭演説で「働く人の賃金が30年間伸びず、特に本県は給与所得水準が低い。税制度を見直し、賃金を上げる」と主張。アベノミクスは富裕層優遇だったと批判し、大企業の税負担を増やして医療福祉や子育て支援を充実させると訴える。
日本維新の会元職は、行財政改革で生み出した資金でインフラ整備を進め、成長を図りたいとする。
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一方、離島や中山間地を抱え、農業、製造業など多様な産業が広がる2区。
自民前職は多様性を持つ地域の特徴を生かし、起業支援などを進めることで「住む場所として選ばれる地域づくり」を訴える。
国民民主党新人は、最低賃金を全国一律千円以上にする制度をつくることや、農林水産省の県内移転を提案する。
共産新人は、脱原発を進め再生可能エネルギーを普及させることで、雇用創出と地域経済の活性化を実現させると主張する。
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2014年、当時の安倍政権は東京一極集中の是正に向け「地方創生」を掲げた。しかし、その後も本県から東京への人口流出は続いている。
ところが、新型ウイルスの流行で、この潮流に歯止めが掛かる可能性が出てきた。テレワークが普及し、東京の企業に在籍しながら地方で暮らすスタイルが注目を集めているからだ。
既に各地の自治体は大都市から移住者を呼び込もうと懸命だ。花角知事は定例記者会見で各候補の地方創生策に期待を寄せ、「過疎地域の生活がどうすれば向上するかについて触れてほしい」と力を込めた。
柏崎市の建設会社社長も地方分散の流れに希望を抱く。「地方都市には、東京の大学に進学した女性が戻ってきて活躍できる職場が少ない。それが人口の社会減につながっているのではないか」として、解決策を望んだ。