長岡空襲の語り部だった金子登美さんが書いた小説などをまとめた「綴り方みちくさ道中」
長岡空襲の語り部だった金子登美さんが書いた小説などをまとめた「綴り方みちくさ道中」
長く文筆活動を続けた金子登美さん=2020年10月

 1945年8月1日の長岡空襲の語り部で、ことし6月に87歳で亡くなった金子登美(とみ)さんが執筆した小説などをまとめた書籍「綴(つづ)り方みちくさ道中」(アドマドネット社)が出版された。金子さんが40年以上かけて地元長岡市の文芸誌に寄せた約50作品を収めた。出版を企画した旧知の友人は「登美さんが生きた証しを多くの人に読んでもらいたい」と話している。

 金子さんは長岡空襲で父と姉を失った。2003年から長岡戦災資料館の運営ボランティアを務め、戦災体験を語り継いだ。長岡ペンクラブの会員でもあり、年刊の文芸誌「Penac(ペナック)」には1976年の創刊号から寄稿を続けた。

 書籍化は、金子さんを姉のように慕ってきたペナック編集長で、広告代理業のアドマドネット社(長岡市)を経営する小野塚純夫さん(72)とペンクラブ創立者羽賀善蔵さんの長女堀桂子さん(81)が「供養にしたい」と考えた。

 寄稿の中から印象的な小説や随筆を選び、堀さんが描いた挿絵を添えた。書籍名は、金子さんが子どもの頃に綴り方(作文)を教師に褒められ、文筆が好きになったことに由来する。

 作品は、金子さんの実家が営んでいた料理屋を題材にした自伝的な「残りもん」、美しい花について語って間接的に愛を伝える女性の心情を描いた「片思い」など多岐にわたる。長岡空襲の犠牲者がお化けとなって現れる「金色のガラス戸」など戦災に関連した作品もある。

 小野塚さんと堀さんは「人や自然への観察力に優れている。ペンクラブにこんな人材がいたのだと知ってほしい」と語る。

 書籍は22日、アドマドネット社を通じて発行された。241ページ、1200円。市内の図書館などに寄贈したほか、JR長岡駅の駅ビルに入る文信堂書店で取り扱っている。