「犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を取る」-。2015年、ドイツでの国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の場で日本政府が述べた言葉は、戦時徴用された朝鮮半島出身者を念頭に置いた国際社会への約束だった。それを形にした施設が東京・新宿にある「産業遺産情報センター」だ。
入り組んだ住宅街の一角、総務省第2庁舎別館。20年3月に開設した建物に入ると、大型のパネルやモニターが並ぶ。三つのゾーンに分かれ、「明治日本の産業革命遺産」の成り立ちから世界遺産登録まで、全体像が紹介されている。

中でも特別にスペースを割いているのが端島(通称・軍艦島)に関するゾーンだ。壁面に並ぶ元島民16人の巨大...
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