世界文化遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)は今、戦時中の歴史認識を巡り対立のはざまに立たされている。日本政府は「厳しい環境で働かされた朝鮮半島出身者がいた」という事実は認めながらも、強制労働は否定する。一方の韓国政府は、一向に折り合わない歴史認識を念頭に、日本政府の対応へ懸念を抱く。3月16日の日韓首脳会談で元徴用工訴訟の解決策を韓国が示し、関係改善の兆しは見えつつあるが、国同士の歴史認識に対する溝はいまだ深い。日韓は歩み寄ることはできるのか。韓国を訪ね、識者や証言者に会い、解決の糸口を探る。(敬称略)

人通りの多い龍山駅前に立つ徴用工像。周りには説明文を刻んだ石碑がある=2月、韓国・ソウル市

 「両国間の不幸な歴史を克服し、韓日間の新しい時代を切り開く第一歩だ...

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