
世の中にはさまざまな丼料理が存在する。カツ丼に天丼、海鮮丼、うな丼…。そんな中で、なぜ今回、親子丼にフォーカスしたかというと、友人とこんな会話があったから。
「親子丼ってわざわざ外で食べないよね」。米が好き。卵が好き。鶏肉大好きな僕からすると、「えっ!?」だった。そんな友人にこそ見せたい、シンプルだからこそ、違いが出る親子丼の魅力。
小島岳大(酒ジャーナリスト・ライター)
撮影は写真家・渡部佳則
甘じょっぱ目の味付けでご飯にピッタリ
鳥安(新潟市北区)
最初に紹介するのは、鶏専門店の親子丼。新潟市北区の「鳥安」の創業は、1971(昭和46)年。焼き鳥や唐揚げなど、さまざまな料理で鶏肉のうまさを堪能できる人気店だ。
このお店で使用している鶏肉は、「みちのく清流味わいどり」。この岩手県の銘柄鶏は、ミネラル豊富な水を飲み、長年の経験やそこから生まれるノウハウを持つ農家が一羽一羽丁寧に育てているのが特徴だ。
「ストレスフリーな環境下で育てられるため、身が柔らかくて、味に深みがある」と話してくれたのは、鳥安の店長・岡部基弘さん(43)。

鶏がらスープとかつおだし、旧笹神村(現新潟県阿賀野市)の「コトヨ醤油(しょうゆ)」のしょう油を合わせた特製だしで、食べやすい大きさにカットした鶏肉とカットしたタマネギを煮る。火を入れたら、1回目の溶き卵を投入。程よく火が通ったところで、2度目の溶き卵を回し入れ、...
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