【2021/12/09】

 小春日和の旧栃尾市(長岡市)。市街地を流れる刈谷田川沿いには、穏やかな陽光と裏腹に、閉鎖された薄暗い織物工場が立ち並んでいた。

 古くから養蚕が盛んだった栃尾は絹織物の産地として栄え、戦後は化合繊維で名を挙げた織物のまちだ。「ガチャン、ガチャン」と機織りの音が響き、工場がひしめいていた。

 織物生産額は1984(昭和59)年に408億円に達した。だが平成に移るころから、バブル崩壊や海外との価格競争を受けて生産額は右肩下がりに。新型コロナウイルスが追い打ちを掛け、2020年は16億円とピーク時の25分の1にまで落ち込んだ。

 栃尾織物工業協同組合の専務理事、陶山(すやま)務(...

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