【2021/12/08】
2004年に中越地震が起きた10月23日は、山古志村(現長岡市)にとって特別な一日だ。
例年、夕方の発生時刻に合わせて追悼行事が営まれ、鎮魂の祈りに包まれる。だが、ことしは雰囲気が違った。
衆院選の期間中だったため、来賓に呼んでいない新潟5区の候補3人がそろって出席した。報道陣が候補を取り囲み、静かな祈りの場がざわついた雰囲気に。一部の住民からは「こんげん時しか来ないねっか」と冷ややかな声が上がった。
中越地震は山古志の転換点だった。元首相田中角栄の政治力を頼って整備したインフラが引き裂かれた。土砂崩れで道路は寸断され、せき止められた川で民家が水没した集落もあった。
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