慶応大法学部の柳明昌教授
慶応大法学部の柳明昌教授

 アウトドア製品企画販売のスノーピーク1958年に金物問屋として創業した大手アウトドア用品メーカー。96年に創業家の山井太氏が社長に就任し、現社名に変更した。2020年に太氏の長女梨沙氏が社長に昇格したが、22年に辞任。太氏が会長と兼務し、同社の株式14・21%を保有している。国内直営店は23年12月末時点で35店舗、国内でキャンプ場など宿泊できる施設12カ所(フランチャイズ1カ所含む)を運営。米国や中国、韓国、台湾、英国に子会社を持つ。連結従業員数は22年12月末時点で697人。(新潟県三条市)が、米投資ファンドのベインキャピタルと組んで経営陣による自社買収(MBO企業の経営陣による自社買収を意味する「Management Buyout(マネジメント・バイアウト)」の略語。経営陣が自社の株式を買い取り非上場企業にすることで、敵対的な買収を防げるほか、株価に左右されず自由度の高い経営ができる。一方で、株主からの監視機能がなくなり、経営が不透明になる懸念もある。)の実施を表明した。ベインの関連会社が4月12日まで株式公開買い付け(TOB不特定多数の株主から株式を大量に買い集める企業買収の手法。「TOB」は株式公開買い付けを意味する英語表記「Take Over Bid(テーク・オーバー・ビッド)」の頭文字をとった略語。取得株数や価格、期間を公表し、既存の株主に売却を呼び掛ける。買収先の経営陣の同意を得た上で買い付ける場合は友好的TOBと呼ばれる。買収先が反対している場合は敵対的TOBとなる。)を実施中で、成立すればスノーピークは上場廃止となる見込み。日経平均株価が史上最高値を更新するなど株式市場が盛り上がりを見せる一方、MBOで戦略的に株式市場から退出する企業が増えている。背景や今後の注目点を識者に聞いた。(報道部・荒川葉子)

-スノーピークのほか、大正製薬やベネッセホールディングスなどMBOが増えています。

 「背景に東京証券取引所の市場改革がある。2023年3月に東証は上場企業に対して、資本コストや株価を意識した経営の推進を求めた。企業にとっては株価や株主対策のプレッシャーが増している。業績が低迷していて株価が思うように上がらない企業は買収の対象になりやすい。アクティビストと呼ばれる物言う株主の目もある」

 「環境の変化を受けて事業転換を...

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