手紙に思いをつづっていくと、差し出す相手や自分自身に自然とじっくり向き合える

 卒業や就職、異動に退職-。春は別れと出会いの季節だ。私自身も4月に、仕事の担当が大きく変わる。一抹の不安と寂しさを感じながらも、新しい出会いを期待して心が躍る。

 社会人になってから1年。しばらく感傷に浸っていたいところだが、現実にはそうはいかない。現在の仕事に加え、新たな仕事の引き継ぎに追われているうちに、気が付くといつの間にか4月になってしまいそうだ。

 今は新型コロナウイルス禍。帰省して家族や旧友と顔を合わせたり、職場で送別会を開いたりすることも難しい。節目を実感できないまま新生活がスタートするのは、何となく物寂しい。こんな状況に置かれているからだろうか、久しぶりに手紙を書きたくなった。

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