パブリックビューイングに「佐渡を世界遺産にする会」のメンバーらと参加する萩野正作さん(左から3人目)=7月27日、佐渡市
パブリックビューイングに「佐渡を世界遺産にする会」のメンバーらと参加する萩野正作さん(左から3人目)=7月27日、佐渡市

 長年の悲願だった新潟県の佐渡金山の世界文化遺産1975年に発効した世界遺産条約に基づき、歴史的建造物や遺跡を対象にユネスコが人類共通の財産として登録する。国内では姫路城などが登録されている。世界遺産にはほかに、貴重な生態系などの自然遺産と、文化と自然の要素を併せ持つ複合遺産がある。登録の可否は世界遺産委員会が決める。登録がついに決まった。停滞する県勢回復の起爆剤としても期待される中、どう観光客を受け入れるのか。人口減と向き合いながら、先人が掘り起こしてきた価値を維持・活用し、未来へつなげていくことも求められる。登録はゴールではなく新たな取り組みの始まりだ。世界遺産の島の現状と課題を追う。=3回続きの3=

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 佐渡金銀山のガイダンス施設「きらりうむ佐渡」(佐渡市)で7月27日に開かれたパブリックビューイング。「佐渡島(さど)の金山「相川鶴子金銀山」と「西三川砂金山」の二つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構が残っているのは、世界的に例が少ないとされる。」の世界遺産登録が決まると、歓喜に包まれた。その輪の中には、金を運ぶ人足を再現した衣装を着た市民団体「佐渡を世界遺産にする会」会員の萩野正作さん(74)=佐渡市相川下戸村=もいた。

 「佐渡を世界遺産にする会」の前身で、旧相川町の住民でつくった「佐渡金銀山友の会」に参加。相川金山と鶴子(つるし)銀山をつなぐ古道を整備して歩く「佐渡金銀山古道を守る会」や、古い町並みが残る京町通りの保全と活用を目指す「京町通りを守る会」などでも活動してきた。

 島の宝を生かしてもり立てようという地元の仲間の存在が原動力となった。世界遺産登録がかなった今、...

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