「此度の戦、皆の命、我に預けよ! 鬨(とき)の声を上げるのじゃ!いざ出陣じゃ!!」
「此度の戦、皆の命、我に預けよ! 鬨(とき)の声を上げるのじゃ!いざ出陣じゃ!!」

 大海原を進む船。飛鳥Ⅱの船旅が始まりました。

 その前日、馬に乗り甲冑(かっちゅう)を着て出陣し、川中島で戦っていた戦国絵巻が夢だったのではと思うほど、穏やかな水平線を只々(ただただ)ずっと眺めていました。

 「お館(やかた)様!」と、どこからか声が聞こえました。

 反射的に振り返り、手を上げて応える私。船の上でも「お館様」と私を呼んでくださる方がたくさんいました。

 第99回謙信公祭。

 謙信公祭は越後の戦国武将上杉謙信公の遺徳を偲(しの)ぶお祭りで、地元の人たちによって毎年開催されています。

 宝塚歌劇団が99周年の時に退団した私は、99という数字にどこかご縁を感じます。

 新潟県外からも約300人が...

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