「国民文化祭・にいがた2019」で演じた世阿弥
「国民文化祭・にいがた2019」で演じた世阿弥

 「初心忘るべからず」

 4月になると思い出す言葉です。

 宝塚では、宝塚音楽学校を卒業した生徒が、4月に宝塚歌劇団の一員として入団し、初舞台を踏みます。

 初舞台生は、4月の初舞台公演で口上とラインダンスを披露します。

 その初々しい姿は宝塚の春の風物詩でもあります。

 そんな一生懸命な初舞台生の姿を見るたびに、自分が初舞台を踏んだ時のことと、この言葉を思い出していました。

 「初心忘るべからず」は、能を大成させた世阿弥の言葉です。

 一般的には、「何かを始めた最初の頃の気持ちを忘れてはいけない」という戒めの言葉として使われますが、世阿弥の言葉はもっと深い意味を持っています。

 世阿弥の言う「初心」とは「最...

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