佐渡市の姫津漁港に集まった有権者に握手を求める西村智奈美=10月24日
佐渡市の姫津漁港に集まった有権者に握手を求める西村智奈美=10月24日

 新潟県内小選挙区の定数が6から5に減り、再編された新たな区割りでの初めての衆議院選挙(衆院選)は、立憲民主党が全議席を奪取し、自民党の比例代表復活も1議席しか許さない結果に終わった。異例の超短期決戦では、有権者の支持を得るべく、各候補が激しい陣取り合戦を繰り広げた。各選挙区の12日間の選挙戦を振り返る。(5回続きの1、敬称略)

 選挙戦終盤の10月24日、佐渡市の漁港に選挙カーが入った。降り立った立憲民主党の西村智奈美(57)は約30人に呼びかけた。「この30年、東京と地方の格差が広がった。政策が地方を向かないのはカネまみれの政治が続いてきたからだ」

 新区割りで新潟1区新潟市中央区、新潟市東区、新潟市江南区、佐渡市。に入った佐渡市は、旧新潟市で活動してきた西村にとって「未開の地」。自民党の元農相、近藤元次、長男で元農水副大臣の基彦の地元でもあり、伝統的に保守が強い。旧民主党に政権交代した2009年の衆院選でも、佐渡市の票は自民候補が民主候補を上回った。

 劣勢が予想される中、足がかりとなったのは、党幹事長など要職を務めた経験だ。陣営関係者は「顔を知っているという人は多く、大きかった」と振り返る。

 さらに、地元選出県議会議員の北啓が全面支援。野党系市議会議員5人とも連携し、支持者を開拓していった。企業も回り、自民支持層の切り崩しを図った。

街頭演説する西村智奈美氏(左)=10月24日、佐渡市

 結果は879票の小差だが、自民の塚田一郎(60)を上回った。佐渡市での歴史的勝利は新選挙区を象徴する戦いとなった。

 西村のもう一つの懸念は、共産党が新人の中村岳夫(49)を擁立したことだった。前々回選と前回選で共産は西村を実質的に支援しただけに、今回は野党票が割れるとの懸念があった。

 しかし、共産は...

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