
「土蔵の修復など、他の人がなかなかできない技術的に難しい作業をやるのは面白い」と話す本田岳史さん=新潟市中央区堀之内南1
厚生労働省は、工業や建築、調理など各分野で卓越した技能を持つ138人を、2024年度の「現代の名工」に選んだと発表した。1967年度から始まり、今回が58回目。表彰者は24年度を含め7234人となった。新潟県からは、新潟市中央区の左官職人、本田岳史(たかし)さん(60)が選ばれた。
そのほか、硬貨の角度によって文字が見え隠れする「潜像加工」に必要な優れた微細加工技術を持つ造幣局(大阪)の実験工、植田晃之さん(60)や、皇室にも出前された江戸前そばの代表格で堀井家を伝承するそば職人、堀井良教さん(63)、婦人服の仕立職人として卓越した縫製技能を持ち著名なデザイナーの作品を数多く手がける千葉県の角田春江さん(72)らを選出した。
表彰制度の目的は技術者の地位や技能向上を図り、優れた技を次世代に継承すること。138人は都道府県や業界団体が推薦した人の中から決めた。
◆「現代の名工」選出の本田岳史さん「若い人も業界に興味持って」
工業などの分野で優れた技能を持つ人を表彰する2024年度の「現代の名工」に、新潟県から新潟市中央区の左官職人、本田岳史(たかし)さん(60)が選ばれた。左官業界は高齢化で職人が減るなど取り巻く状況は厳しいが、「選ばれて光栄なこと。今後も職人の技術を守り伝えていきたい」と喜びを語った。
新潟市出身。祖父、父親とも左官職人で、自身も「自然と左官になった」と話す。地元の高校を卒業後に父親の経営していた会社に入り、職人の道へ。会社の先輩や親方から教わりながら、材料を練ったりするなど補助的な仕事から始め、現場で技術を身に付けていった。...
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