上村英輔社長
上村英輔社長

 新潟県内企業で世代交代や代替わりが相次いでいる。先代の流儀を踏襲しつつも、若い感性で時代を見つめ、新たな領域にチャレンジし、県内経済に新風を吹き込む。他社などでの修業時代に何を学び、経営者として今、どのようにビジネスを展開しているのか。若きトップたちの視座を探った。(8回続きの4)

 建築資材卸売りのスミック(長岡市)は1905年創業の老舗で、上村英輔社長(44)は5代目に当たる。ガラスやサッシ、キッチンといった住宅関連の設備を仕入れ、建築業者や卸売業者に販売している。「ただ物を売るのではなく、快適な住空間を提案できる会社にしたい」。企業間取引の中で要望に応えるだけではなく、付加価値をつけた商材を提案する企業へ、リブランディングに取り組んでいる。

 住宅関連市場は人口減少で縮小が見込まれる。脱炭素の流れを受け、窓ガラスや給湯器といった商材の需要は断熱効率やエネルギー効率が高い設備へと変化した。人手不足を背景に人材獲得競争が激しさを増している。取り巻く環境が変化する中、「お客さまにも、社員にも選ばれる会社」を目指す。

 事業では、取引先企業への一歩踏み込んだ提案を重視する。商材を販売するだけではなく、施主の要望を受けた企業に、さらに付加価値をつけた商材を提案する。「建築業者をサポートし、(商材の)値段を超えたところで勝負できるようにしたい」と語る。

 社員に対しては、働きやすい環境を整える。休日を少しずつ増やし、賃上げにも取り組む。社員の声を受け、部署ごとの懇親会を社費で開いてチームワークの向上を図っているほか、営業職や事務職の服装をオフィスカジュアル化した。

上村英輔社長

 提案型の企業となり、人材を確保できれば「市場が小さくなっても、おのずと勝てる」と考えている。

 2024年3月期の売上高は...

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