
新潟県内の食料品小売業がデジタル技術で仕入れの現場を変革しようと、データ活用を進めている。鮮魚専門チェーンの角上魚類ホールディングス(HD、長岡市)がバイヤーの買い付け業務に専用アプリを導入しているほか、食品スーパーのウオロク(新潟市中央区)は需要を先読みして特売品を発注する。デジタルを積極的に取り込み、仕入れの効率化を進める。
県内と関東圏を中心に23店を展開する角上魚類HDは2024年秋、バイヤーが過去に買い付けた魚種や価格などのデータを、タブレット端末で参照できる機能を本格導入した。バイヤーは魚市場で前年や前月、前週のデータを見て競りなど買い付けの戦略を立てる。
角上魚類HDは新潟市中央卸売市場(新潟市江南区)と豊洲市場(東京)に計11人のバイヤーを配置。納得のいく価格で必要な量を仕入れるには経験が物を言うが、データ活用で業務をサポートできるようにした。一時的に担当外の魚種を買い付ける場合にもデータを参照し、バイヤー間で業務をシェアしやすくした。

データ参照の機能は、2022年に業界に先駆けて開発した専用アプリに追加した形だ。アプリ制作はシステム開発のモンスターラボ(東京)に発注。バイヤーは22年から紙の伝票の記入をタブレット入力に切り替えており、新潟と豊洲で互いの買い付け内容をアプリ上で把握し、過不足のない仕入れを実現している。
新潟鮮魚課の加藤雅章課長は「一連のデジタル化で社内コミュニケーションが取りやすくなり効率が上がった」と話した。
一方、食品スーパーのウオロクは、需要予測を活用して特売品の発注を効率化している。
期間限定で値引き販売する特売品は爆発的に売れることがあり、各店の担当者は期間中に追加発注して品ぞろえを確保することが多かった。運送業の人手不足で物流費の上昇も想定される中、需要を先読みして商品を一括で仕入れようと、特売品を対象にした需要予測の検証を昨年始めた。
システム開発のシノプス(大阪)と連携。過去の販売数や...