樹森大介氏(C)MITO HOLLYHOCK
樹森大介氏(C)MITO HOLLYHOCK

 J1アルビレックス新潟の来季の新監督に決まった水戸ホーリーホックの樹森大介コーチ(47)。いったいどんな人なのか。

 埼玉県出身で、前橋商業高から専修大に進み、J2の湘南ベルマーレ、水戸ホーリーホック、ザスパ草津でMFやFWとしてプレーした。その後、指導者としては母校の前橋商業高のコーチなどを経て、古巣水戸のユース監督やトップチームのコーチを務めている。

 この経歴を見ると、新潟との縁はあまり感じられない。それでも、ざっくりと過去の記録をさかのぼってみる限り、選手時代にJ2で10試合ほどは新潟と対戦しているようだ。過去の記録や新潟日報の紙面をひもといてみた。

(以下、敬称略)

記念のゴール

 例えば、大卒新人で入ったばかりの2000年の湘南ベルマーレ時代も新潟と対戦している。湘南の背番号10を、あの前園真聖が背負った年だ。7月の新潟市陸上競技場での試合では、樹森が前園と名前を並べてスタメン起用された。当時の記事を見ると、圧倒的に試合を支配した新潟が、後半終了間際、途中出場のナシメントのヘディングゴールで勝利を飾っている。樹森はフル出場でシュート0本。湘南時代はなかなかスタメンに定着できなかった。

 それでも翌2001年11月の最終節。ビッグスワンでの対戦で先発起用されると、前半16分に左足でシュートを決める。これがなんとJ初ゴール。実は新潟相手に新潟の地で初得点を決めているのだ。貴重な先制点となり、湘南は追加点も奪う。しかし後半、アンドラジーニャと寺川能人のゴールで新潟が追い付く。延長戦でも寺川がVゴール(懐かしい響き!)を決めて新潟が逆転勝ちした。殊勲の寺川は「本当は(シュートを)ミスったんですよ。ダフって、あっ取られたと思ったら入っていた」と首をかしげたという。

 寺川はこの2得点で11得点とし、生涯唯一の2桁得点に乗せた。同じ試合で節目のゴールを挙げた2人が強化部長と監督という関係になるとは、誰も想像できなかっただろう。湘南での樹森のゴールはこの1点だけだった。

4万人の前で

 樹森は2003年に水戸へ移籍。5月には新潟との対戦でビッグスワンを訪れる。観客数は4万1987人という、今となっては驚くような人数だ。記録を見ると、水戸のスタメンには後の日本代表、田中マルクス闘莉王の名前がある。DFながら2本のシュートをマークしているのが、いかにも攻撃的な闘莉王らしい。

 一方の新潟のスタメンはGK野澤洋輔、DF三田光、丸山良明、アンデルソン、MF山口素弘、秋葉忠宏、深澤仁博、神田勝夫、FWマルクス、ファビーニョ、上野優作。そして監督は反町康治。記憶に残る名前も多いだろう。それもそのはず、この年は新潟が初めてJ1昇格を決めることになるシーズンだ。

 この試合、新潟日報が撮影した写真の中から、樹森の姿を見つけた。

水戸の樹森大介(左、18番)と新潟の神田勝夫=2003年5月5日

 試合は...

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