生徒数の減少などを受けて2024年3月に閉校した旧安塚中学校の校舎=安塚区石橋
生徒数の減少などを受けて2024年3月に閉校した旧安塚中学校の校舎=安塚区石橋

 「平成の大合併」で全国最多の14市町村が一つになり、新潟県で新上越市が誕生してから1月1日で20年を迎えた。都市と農村が共存し、海岸部から山間地まで広大な市域を誇る上越市は地域色豊かなまちづくりを目指してきた一方、人口減少や行財政改革などに直面。20年の来し方は、持続可能な自治体運営に向けた試行錯誤の連続といえる。合併が目指したものとは-。(6回続きの2)

 子どもの声が響かなくなった学びやは静まりかえり、近くを流れる川のせせらぎが聞こえるだけだった。

 上越市安塚区唯一の中学校だった旧安塚中は2024年3月末に閉校し、47年の歴史に幕を下ろした。子どもたちの数が減り続け、23年度の全校生徒は27人。近隣の浦川原中、大島中と統合された。

 「子どもや先生が学校に毎日通う様子が見られ、にぎわいもあった。地域には学校を失った喪失感が広がっている」。安塚区で書店を営む吉野誠一さん(76)は語る。吉野さんは60年近く書店を営み、学校との付き合いも長かったことから「余計にさみしいね」とつぶやく。

雪が積もった田んぼの真ん中にたたずむ旧安塚中学校の校舎=上越市安塚区石橋

 児童生徒数の減少で小中学校の統廃合は加速している。新上越市が発足した2005年に1万8075人だった市立校の児童生徒数は、...

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